繊維・衣料業界は、原料、生産、販売、輸送に至るサプライチェーン全体を統合・革新しながら発展し、大きな変化を遂げつつあります。

デュアルカーボン(中国語で「双炭」とも呼ばれ、中国国内で広く浸透している言葉。 具体的な内容は、2030年までにCO2排出量を減少に転じさせ（カーボンピークアウト）、2060年までにCO2排出量ゼロ（カーボンニュートラル）を目指すというもの)などの政策の影響を受け、各段階における製品の持続可能性が特に重要になっています。

同時に、環境保護コンセプトの継続的な深化に伴い、消費者と製造現場は双方向で環境保護と二酸化炭素削減を急いでいます。

こちら記事では、繊維・衣料業界が環境トレンドに対応するためにとっている行動からヒントを得て、SS25シーズンで生地の生物環境保護分野で注目すべき3つのトレンドを紹介したレポートから１つ抜粋して掲載致します。

 

 

 

Circular Economy 

世界的な二酸化炭素削減の動きに後押しされ、近年、循環型経済の発展を通じてグリーンな経済成長と気候目標を推進することがトレンドであり、コンセンサスとなっています。

その中で、持続可能なファッションの台頭は、政策、産業、消費を通じて、ファッション産業の循環型経済モデルへの転換を促すとともに、デュアルカーボン構造の目標達成に重要な支援と役割を提供しています。

リサイクルの実現は、単に繊維のリサイクルだけではありません。

デザインから繊維、テキスタイル、スクラップまで、衣服のライフサイクルを徹底的に捉え直し、製品のライフサイクル全体をカバーするファッション経済を創造することが必要です。

2022年3月30日、欧州グリーン協定案が発表されました。
EUの持続可能な循環型繊維戦略案は、新循環型経済行動計画および産業戦略におけるコミットメントを履行するだけでなく、EU市場に投入される繊維製品が2030年までに長くリサイクル可能であることを保証するためのビジョンと具体的な行動計画を示しているものです。

欧州委員会は、廃棄物枠組み指令（SCIP）に取り組む意向も表明しています。

提案では、ブランド所有者に衣料品の生産廃棄物に対する責任を求めるEPR政策の導入を求めています。

また、欧州の繊維産業をより持続可能で循環的なものにするため、欧州連合が資金を提供する研究・投資プロジェクトを調整する新組織ECOYSTEXA （持続可能な繊維エコシステム実践の欧州共同体）も発足されています。

 

Circular economy–Recycled materials

 

背景：

Alan MacArthur Foundationは、循環型経済モデルが2030年までにファッション業界に7000億ドルのビジネスチャンスをもたらすと予測しています。

ファッション産業におけるリサイクル可能な用途の大きな可能性と、繊維・衣料品最大の国である中国により、持続可能なファッションは循環経済を活用するためのテコとなっています。

なかでも再生可能／リサイクル可能な原材料は、循環型経済の出発点となっています。

 

技術的なポイント：
1. Recovery ™：産業廃棄物や消費者廃棄物から発生する繊維廃棄物を、価値ある高品質の再生綿繊維と繊維混合材料に変換します。

次に、繊維廃棄物を少ない水で帯電防止スプレーで処理します。最後に、専用の機械で繊維廃棄物を粉砕し、繊維にします。

2. リサイクル素材認証：GRS、RCS、(*POPFashion会員の方はぜひこちらの関連記事もご覧ください)Bluesign

ビジネスケース・・・

1. 2022年、C&AとRecovery ™は、より持続可能なファッション分野におけるレジャー衣料のリーダーとしての地位を確固たるものにするため、4年間の契約を締結しました。

2023年春、C&AはRecovery ™コットンを使用したCLOCKHOUSEシリーズのカラフルなベーシックスタイルの展開を開始しています。

2.Perry Ellis x Recovery ™のコラボシリーズは、2023年春、初のローインパクト・メンズ・ジーンズを発売しました。

このシリーズの各アイテムには、繊維廃棄物からリサイクルされたものが20％含まれています。

リサイクル綿繊維を使用することで、衣料品の環境負荷を低減します。

3. Primary Cares seriesの各商品は、持続可能で、手頃な価格で、ファッショナブル。

 

 

Circular economy–Waste recycling

 

背景：

中国は世界最大の繊維・衣料品の生産・消費国ですが、現在繊維製品の80％は化学繊維製品です。

関連研究機関によると、1000gの廃棄繊維を使用すると、3600gの二酸化炭素排出量を削減でき、6000ℓの水を節約でき、300gの肥料と200gの農薬の使用を削減できます。

中国で廃棄繊維がすべてリサイクルされれば、2000万マイクロメートルの耕地の占有を直接削減でき、年間2400万トンの原油を節約できるのです。

廃棄物のリサイクルはその重要な一部であることは間違いありません。

 

技術的なポイント：
1. OnceMore ®：S ö dra（スウェーデン）　世界で初めて廃混紡繊維の工業規模リサイクルプロセスを開発しました。

2. Circle：独自の水熱プロセスにより、水、圧力、環境にやさしい化学反応を利用して、ポリエステル綿混合繊維から原料を回収する技術です。

Circleでは合成繊維（ポリエステル繊維など）とセルロース（リヨセル繊維など）を分離させます。

ビジネスケース・・・

1.Circulose ®採用率の高まり。

Advance Denimは、最近アムステルダムで開催されたKingpins展示会で、Circuloseパルプを50％混合したGracell x Circuloseビスコース繊維を使用した初のデニムコレクションを発表しました。

2.サステイナブルなラグジュアリーデザイナー、Mara Hoffman は、再生ポリエステル綿繊維廃棄物50％から作られたシルク・リヨセル繊維「Circle Lyocell」を使用した初のドレスを発表し、

今後3年以内にこのCircle Lyocellをコレクションに取り入れることを約束しました。

 

 

Circular economy–Green recycling

 

背景：

リサイクル・再生システムは、製品のライフサイクル全体を通じて重要な役割を果たしています。

リサイクル・再生システムによって、廃棄物や材料を価値ある資源に変えることができ、資源循環を実現することができるのです。

資源循環型産業システムの構築は、持続可能な発展を実現するための重要な鍵の一つです。

 

技術的なポイント：
1. EMPEL ®：PFASを含まない先進的なグリーンケミカル成分と特殊な製造工程を採用し、分子架橋によって糸に浸透し、防水層で包み込むことができます。

分子架橋により、高い耐久性と耐摩耗性を持つ目に見えない層を形成します。(従来の化学的・機械的衣類リサイクルシステムでは、防水ジッパーに一般的に使用されているポリウレタンフィルムを扱うことができないため、リサイクル前にジッパーを衣類から取り外す必要があります。）

このグリーンテクノロジーを使用することで、リサイクルシステムにおけるPUの課題が解消されるでしょう。

2. Siptex：世界初の大規模設備。近赤外線を利用して繊維を色と繊維成分で分類し、センサーが繊維の種類を検知して計算します。圧縮空気で繊維を正しい容器に吹き込みます。

3. SuperCircle：廃棄物管理と革新的な繊維間リサイクルソリューションをリンクさせることで、ブランドや小売業者は、ブランドが所有するリサイクルプログラムを簡単にサポートしたり、大量の在庫を下ろしたりすることができます。　Reformation、Paragraph、A L. C. Tentree、Uniqloがリサイクルソリューションを提供しています。

ex, YKK Dynapel ™：革新的なGTT EMPEL ®テクノロジーを採用した防水ジッパー。優れた防水性能を維持しながら、単一素材を衣料リサイクルシステムにより適合させ、リサイクルしやすくすることをコンセプトとしています。

 

 

こちらのレポートは、POP Fashionより一部抜粋してお届けしております。

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