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CARLIN Beauty 担当Sarah BALCONへのインタビュー
今回は、CARLINグループのマネージングディレクター Edouard KELLERがBeauty ブックを担当している、
Sarah BALCONへインタビューをした様子をお届けいたします。
Edouard KELLER(E.K): こんにちは、サラ! あなたはCARLIN Beauty ブックを担当されていますね。
最初に自己紹介をお願いします。
Sarah BALCON(S.B): パリの国立高等装飾美術学校で写真を学んだ後、
トレンドエージェンシーの世界に出会いました。
私は、クリエイティブ、ビジュアル、応用アート、社会、消費者セクターのすべてにおいて、
好奇心をもって360度あらゆる角度から観察すること、
そしてもちろん、これらの情報を最も明確で実用的な形でクライアントに伝えることが好きです。
2015年からBeautyブック製作のためにCARLINと一緒に作業をスタートし、
それから毎シーズン大きなトレンドを見極めるためにブック製作に貢献しています。
E.K : 昔からコスメの世界に興味がありましたか?
S.B: はい。子供のころから美容に関することが大好きでした。これは、とても上品でおしゃれなわたしの祖母の影響なのかもしれません。
彼女は、あらゆる形の「美を愛する心」を私に教えてくれていたのだと思います。
幼い頃、ミニチュアの香水を集めたり、香水の広告キャンペーンに夢中になったりしているうちに、
調香師になりたいと思うようになりました。私は芸術と科学の両方に興味があり、最終的に応用芸術を選びました。
E.K: Beauty ブックの内容について、詳しく教えてください。私たちは何を見つけることができますか?
S.B: Beauty ブックでは、そのシーズンの主要なトレンドを紹介しています。
強い美的コードを持つスタイルへの欲求は、常に社会問題や消費者行動の発展や変化と結びついています。
それぞれのトレンドは、人、場所、製品によって具現化されています。
それによって、フェイス&ボディケア、メイクアップ、ヘアカット&カラーリング、ツール&アクセサリー、
パッケージング、ビューティーテック、ウェアラブル、成分、テクスチャー、カラーなど、ブランドのニーズを満たすクリエイティブなソリューションが提供されるのです。
また、パートナーであるCapsum社、Gattefossé社の製品も活用しています。彼らはCARLINのために特別な処方を開発したり、彼らのカタログから処方を選んだりしており、
Beauty ブックに加えて、彼らのサンプルから応用することも可能です。
その目的は、あらゆる美容分野のお客様に、製品開発、研究の方向付け、コミュニケーション、
さらには制作途中の製品を最終的に形にするための、信頼できる繊細なインスピレーション源を提供することなのです。
E.K: 常に消費者の期待に注目していますか?
S.B: はい、いつもです!業界での経験を活かし、彼らの変化に注目し、その時々の意識を解釈することで、明日の方向性を知ることができるのです。
E.K:それでは次に、COVIDの危機がここ数年の美容トレンドに強く影響していることは容易に想像できますが、
これについてどのように分析していますか?
S.B: この危機は、まず何よりも、すでに起きていた変化を促進し、いくつかの本質的な真実を私たちに思い起こさせました。
消費者の点で見ると、彼らのブランドの透明性に対する期待は高まっています。
よって、成分、処方、製造プロセスなどはこれまで以上にアクセスをしやすく、クリーンである必要があります。
また、時間とお金を無駄にしたくないという声もあります。さらに、彼らは素朴さを失い、ブランドの謳い文句だけでは満足できなくなっています。
彼らは、主張されていることの科学的な証拠を求めています。
このCOVIDの危機は私たちには接触、感覚といった身体的な経験が不可欠であることも示しています。
これに呼応して、スキンケアやメイクアップの分野ではテクスチャーや香りに注目する動きが盛んです。
現在の美の表現には2種類あります。
1つは自分のため、自分の喜びのための美の実践、自分への愛の美の表現です。もう1つは幻想的な模様や色彩に満ちた実践、自分自身や他人を誘惑する美の表現です。
この困難な時代の経験を通して、美というのは私たちの生活とバランスのために重要であることを確認しました。
E.K: ここ数ヶ月、「メタバース」が一つのバズワードです。ビューティー業界にはどんな影響があるのでしょうか。
これは、これから先、本当に続く現象なのでしょうか? どのような技術革新がブランドに影響を与えているのでしょうか?
S.B: はい。メタバースは避けて通れないものです。いくつかの段階で、ビューティー業界に影響を与えていくでしょう。
まず、伝統的な肉体美は、デジタル美学の新しいコードとその自由さによって既に大きな影響を受けています。3D制作ソフトが生み出すフォルムの流動性、重力からの解放、色、質感、動き・・・
それらは私たち自身のビジョンにも影響を与えています。
InstagramやTik Tokのようなアプリケーションのフィルターが、リアルを変容させ、リアルに影響を与えています。
自撮りのためにデザインされたメイクアップ、ヘアスタイル、スキンケア、整形手術まで。「フィルターを通した」ように自身の顔を見せたいという欲求…
一方では、新しい考えが開かれ、他方では、「フィルターをかけたとき」よりも「実際のとき」の方が美しくないという印象を持つこともあります。
この影響力は、それ自体ポジティブでもネガティブでもないのですが、存在することは事実です。
技術革新という意味では、より早く、より簡単に、より身近になったアバター制作はもちろん、軽量化が進んだバーチャルリアリティヘッドセットによる没入感、
身近で快適に使える拡張現実アプリケーションなどについても考えます。
また、現実を再現するための道具として、3D制作や、実物をあらゆる角度から撮影し、3Dに変換することについても考えています。
これらの新しい変換技術は、バーチャルフィッティングに革命をもたらし、ビフォーアフターのシュミレーションを非常に精細かつリアルに行うことができます。
今、私たちは多くの素晴らしい改良とイノベーションを目の当たりにしています。整形手術、化粧、ヘアカラー、などの効果を事前に確認することができるようになるのです。
E.K: 次に、ファッションとビューティがリンクすることで、何か展開はあるのでしょうか。それとも以前からあったのでしょうか?
多くの大手のファッションブランドによるビューティーシリーズの立ち上げは、経済的なチャンスというよりも、もっと深い意味があるのでしょうか?
S.B: ファッションブランドは、私たちの生活のより多くの側面を取り上げ、美、装飾、食、体験、娯楽、旅行、本、音楽、
ポッドキャスト、映画、アート、旅行などの文化を包括するグローバルなライフスタイルブランドになりつつあります。
ファッション業界もまた、行き過ぎた行為やスキャンダル、ファストファッションによる社会的・環境的被害、環境に対する消費者の期待の進化と関連した危機を経験しています。
しかし、ビューティー業界は自己表現と自己イメージの側面を共有しているという点でファッション業界とつながっています。
E.K: ウェルネスの重要性は、20年前から注目されています。これからはこれをどのように未来に繋げていきますか。
S.B: ざっくりとまとめると、美容の分野ではウェルネスへの関心がが見た目への関心と同じレベルにまで上がってきた、いや、超えてきたということになります。
一部の例外を除き、美しくあるために日々の生活に支障をきたすようなことは、もはや望まれなくなったのです。
“美しくなるためには、苦しまなければならない “というのは、もはや古い思考です。
このような行動と欲求の進化は、どのような場合でも、幸福なくして永続的な美しさはありえない、という思考です。
そのため、美容はウェルビーイングをサポートし、強化し、ジェスチャーや儀式を作り、
精神的・肉体的に有益な質感や香りを提供するのです。以前までの美は、ステータスを重視し、適合的で、何よりも他者を誘惑するものでした。
E.K: 最後に、消費者の動きについての話題に戻りますが、近年のメンズビューティー市場にはどのような動きがあるのでしょうか。
S.B: 美容が健康や幸福に向かうことで、男性にとって美容がより身近なものになりました。
男性にとっての美は、パフォーマンス、最適化、資本の保全と同様に、自尊心と自己愛の実践となりました。一方、私たちの性別の流動性が認められ、
男性も女性的な美容習慣にアクセスできるようになりました。最近盛んになってきた男性用のマニキュアも例の1つです。
この男性美容のさまざまな側面を総合した製品の例として、2年前からヒットしているHORACE のPurifying Face Mask があります。
この製品は、美容マスクという従来女性的と思われていた製品に、プライドと自己主張、そしてファンタジーを感じさせる強烈で鋭い色を組み合わせたという意味で成功していると考えます。
マスクを顔に塗ると、まるで部族の絵か、サポーターが顔にペイントしているかのようになります。
香水などでは、数年前からノンジェンダーでインクルーシブな製品が登場しています。
スキンケアの分野でも、「男」や「女」という言葉をほとんど使わなくなり、「Human(人間)」という言葉で提案している製品が多いです。
Pharell Williams のHUMANRACE, Everyday Humans , Jada Pinkett Smith のHey Humans ・・・などが有名です。
E.K: サラ、 たくさんの興味深い話をありがとうございました!!
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