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ファッションビジネスの海外進出について
■アメリカンマーケットの特徴
アメリカ市場は、大ロットの市場でもあります。中国、アジア諸国、中南米諸国から、低価格品が大量に入ってきています。
国内の繊維産業も活発で、大ロットの製品が市場にあふれています。
それらはすべて低価格で、ファッショントレンドとはかけ離れた衣料と言われるもので、その次元で日本のアパレル企業が競争するには、確かに価格的に困難です。
ここでは、品質、ファッション性の高い商品について述べていきます。
現在アメリカ市場では、価格の低い、低品質の商品を多く作ってきた企業が、年々不振になってきています。リミティッド、ギャップなどのSPA勢も一時の勢いはなくなり、消費者からファッション性を求められています。それに反して、感度の高いコンテンポラリーのグループが市場を席巻しています。アメリカ市場も低価格のコンサバから感性とファッション性の時代に入ったと言えます。 長く続いている好景気を背景として、アメリカの消費者は、従来の「安いもの」から、「感覚の良いもの」へ確実に移り変わってきています。ただ、消費者の価格に対する敏感さは、見逃せない重要なポイントでもあります。
■アメリカの商品
ウェスト・コースト、イースト・コーストは別として、アメリカ全体では、「ファッション成熟度」という面では、これからのマーケットです。
商品的にも、日本と比べると、企画、素材、パターン技術、縫製、付属品いずれも日本の方がレベルが高いと思います。したがって、商品そのものは、日本の商品の方が圧倒的に良いものがあります。日本の商品は関税、送料を加えるので、アメリカ製品よりも高い価格になってしまいますが、品質、デザイン、企画力の差が、それを埋めることができるでしょう。
■アメリカのマーケットセグメンテーション
| 市場分析 | 顧客層 | デザイナー/ブランド名 |
|---|---|---|
| プレステージ | 社交界の富豪と芸能人 | シャネル、ディオール、ジバンシー、グッチ |
| デザイナー | 富裕層とメディア&アート関係者 | ラルフ・ローレン、カルバン・クライン、ダナ・キャラン、 マーク・ジェイコブス |
| ヤングデザイナー | トレンドに敏感なヤング | アナ・スイ、ダリルK、ジル・スチュアート |
| ゴールドレンジ | 管理職のキャリアウーマン、 富裕のミッシー&ミセス |
ダナ・キャラン・シグネチュアー、ストラネス、 レネ・レザード、マックス・マーラ |
| ブリッジ | 自立派キャリアウーマン | DKNY、ICB、タハリ、エレン・トレーシー |
| ブリッジベター | 一般のキャリアウーマン | ジョーンズ・ニューヨーク、リズ・クレイボーン、BCBG |
| コンテンポラリー | ヤングキャリアウーマン | ザラ、be be、INC、ダナB、マックス・スタジオ |
| ベター | 幅広いカジュアル志向層 | ギャップ、Jクルー、エスプリ、ゲス |
| モデレート | 価格と価値を追求する層 | レズリー・フェイス、ザ・リミッテッド、H&M |
| バジェット | 価格優先の大衆層 | バイア、ディテールズ、ジャックリーン・スミス |
※繊研新聞社 発行 「NYファッションビジネス事情」より
| シーズン | 企画・デザイン | ショー・展示会 | 商品納入 |
|---|---|---|---|
| 秋1 | 11〜12月 | 2月中旬〜3月 | 6月末〜7月 |
| 秋2(冬物) | 12〜2月 | 3月〜4月 | 7月末〜9月 |
| ホリデー | 2〜4月 | 6月 | 9月末〜10月 |
| リゾート(初春) | 4〜6月 | 8月 | 11月末〜12月 |
| 春1 | 6〜8月 | 8月末〜10月 | 3月末〜4月 |
※繊研新聞社 発行 「NYファッションビジネス事情」より
アメリカのファッション業界においてシーズンの捉え方は、各社商品戦略によって異なりますが、一般的には、Spring, Summer, Fall, Winter (Fall 1、Fall 2と言うところも多い.) Holidayというように区分されています。各シーズンの納期は、日本とあまり変わらないと考えて良いでしょう。大まかに言って、Spring 1月-2月, Summer 3月-4〜6月, Fall 6月-7〜8月, Winter 9月-10月, Holiday 9月-10月〜11月というように区分されています。Holidayというのは、X'mas商品です。クリスマス・バケーションの商品を含みます。アメリカは、地理的に東西南北に広がっている為、お店からの納期の希望は地域によって大きく異なり、納期指定の注文が珍しくありません。
■トレードショーへの出展方法
商品のカテゴリーによって、ふさわしい展示会とそうでないものがあるので、出展経験者などに聞いて、それを良く見極める必要があります。主催者のインフォメーションを取り寄せて、よい場所の確保の為に早めに申し込むことをお勧めします。今までの経験ですが、トレードショーの中のブース位置は注文量に大変影響します。
主催者から申込書(Application Form)を取り寄せて、申込金を添えて主催者に送ります。
送金方法は事前に主催者に確認しなければなりません。
そして、初めての参加であっても営業担当者、ショー・マネージャーに連絡をとって、できるだけ良い場所を確保するための交渉することを忘れないで下さい。
次に、義務付けられている賠償責任保険の加入を行います。これはブース内で第3者がけがをしたなどの保証のためです。
トレードショーの情報は、およそ3-4ヶ月前から取り寄せることが出来ます。1年前に公表されている情報は、会場、日程などが頻繁に変更になるため注意が必要です。
■ブース(Booth)
ブースのレイアウトは大変重要です。トレードショーには、何百というブースがありますので、素通りになってしまいがちなのが、広い場所での見本市です。商品の魅力がわかりやすいブース作り、「主張」の明確なブース作りが大切です。
■什器の手配
ハンガーラック、人体、家具などの什器、備品は、レンタルで借りられます。レイアウトに従って什器、備品を注文するのですが、日本ほどセンスの良いものが多くありません。什器が必要な場合は、日本から送ることも必要です。ハンガーは、レンタルで借りられないので、日本から持参しなければなりません。
■サンプルの搬入
サンプルのアメリカへの搬入は、大変慎重に行う必要があります。一番合理的な方法は、カルネを取得する方法です。この場合は、関税は免除されますが、サンプルをアメリカに持ち込んだ時と同じ内容で、持ち出さなければなりません。つまり、この方法では、営業的に必要があってもサンプルをしばらくアメリカに置いておくということが出来ません。次に、テキスタイルビザを正式に取得する方法です。この場合は、サンプルをアメリカから出す必要はないので、ビジネス的には対応しやすいメリットがあります。(2005年から原産国が日本の場合には必要なくなりました。中国製産の場合には必要になりますのでご注意下さい)ただし、正規の日本からの輸出になりますので、関税が発生します。また、アメリカのルールに沿った表示をしなければ通関できません。
カルネ(正式名称:ATAカルネ)とは、ATA条約(物品の一時輸入のための通関手帳に関する条約)に基づき、職業用具、商品見本、展示会への出品物などの物品を外国へ一時的に持ち込む場合、外国の税関で免税扱いの一時輸入通関が手軽にできる通関手帳です。
ATAカルネは外国への輸入税の支払いや保証金の提供が不要となる支払保証書でもあります。
一つのATAカルネで通関手続きの異なる数か国の税関でも使用できるため、非常に便利な通関書類です。
A.T.A.とは、一時輸入を意味します。
Admission Temporaire(フランス語)Temporary Admission(英語)の頭文字の組合せです。
「カルネ」(CARNET:フランス語)とは手帳を意味します。
詳しくは:
- 東京事務所(カルネ事業部) TEL03(3287)3071
- 大阪事務所(カルネ事業部)TEL06(6944)6165
■展示会発注(Order)
アメリカのトレードショーは、日本のように「名刺交換会」のような性格ではありません。明らかに「注文」を目的としています。多くのお店は、自分の仕入れ予算を持って、各ブースを回ります。メモ(Note)をとって、お店に帰って予算の計算をしてから、メールやファックスで注文書を送ってくる慎重なバイヤーもいます。
■価格(PRICE)
小売価格(Retail Price)を決める必要はなく、卸価格(Whole Sale Price)のみを設定します。FOB Japanでは、不十分です。アメリカ国内での卸価格を計算しなければなりません。
■納期(Delivery)
バイヤーは納期を必ず確認します。即納品できるもの(Immediateイミーディエットと呼びます)と、先物が解り易いように展示しておく方が良いでしょう。
■プレスキット(Press Kit)
お店の多くは、新しいメーカーに対して大変慎重になります。商品が納期通りに上がるのか、サンプルと同じ品質であがるのかを非常に気にしますが、これは初めての取引のため仕方ありません。その為にも、会社概要(Company Profile )、デザインポリシー、イメージ写真などをセットにしたセンスの良い「プレスキット」を準備して望む必要があります。
■注文書(PO)
大手のお店は、自社の注文書で注文を行いますが、メーカー側が「注文書」を用意するのが普通です。注文書には、注文書番号(PO#) 請求先(Bill To) 納品先(Ship To) 仕入れ担当者名(Buyer) Tel、 Fax 、納品開始日(Start Ship)、納品完了日(Completion)、支払条件(Terms) 商品番号(Style#)、商品内容(Description)、 色(Color)、サイズ(Size)、単価(Unit Price) 小計(Total Cost)、合計( Total Amount )、仕入れ者署名(Buyer’s Signature)の項目が必要です。また、注文書には、取引条件を予め載せておく方が良いでしょう。例えば、「本注文により、当社は素材を購入し生産するため、当社の承認無しのキャンセルは出来ません。追加生産の場合は価格が変わることがあります。」などです。また、取引上トラブルになった場合の、解決方法も書いておくとトラブルを最小限に抑えることが出来ます。
「この注文書(PO)を集計して、アメリカンマーケットでの必須営業情報のところで説明している信用調査(Credit Check)を行い、パスした会社の受注を正式な受注とします。
■ラインシート(Line sheet)
日本でいう絵型のことです。注文したデザインを後でチェックするために、FAXで注文するために、上司の許可を取るために…など、多くの理由でラインシートが求められます。ただし、中には、デザインをコピーするためにラインシートを集めている人もいるので注意が必要です。ラインシートには、デザイン画、アイテム名、スタイル#、価格、納期、色、サイズの記載が必要です。
■取引条件 (Terms and conditions)
完全買取が普通です。委託、消化、交換などの取引条件は、ほとんど見かけません。従って、「当社は返品を受け付けません、完全買取りです。」と、ことさらに説明する必要もない訳です。ミニマム・オーダーは、会社の考え次第ですが、普通は設定しているところが多いようです。数量でも良いし、金額でも構いません。
■商標登録(Trade Mark)
日本でブランドの登録をしてあったとしても、それは、日本国内においてのみ有効であるため、アメリカにおいては、新たにブランド登録をする必要があります。商標登録専門の弁護士に依頼して取得しますが、登録費用、手続き費用は、全部で$2000ドルくらいです。日本で登録が完了している商標は、日本での登録をベースに、申請することが出来ます。登録申請後、ブランドに、TMという文字をつけることが出来、これは「この商標は、現在申請中」という意味になります。商標登録が完了するまで、申請から1年はかかります。
■関税(customs)
| 衣類の種類・衣類の素材 | 関税率 |
|---|---|
| セーター類 カシミヤ以外の毛製品 |
16.30% |
| 綿製品 | 17.80% |
| 化合繊製 | 32.70% |
| 婦人用ニットブラウス・シャツ 毛製品 |
14.60% |
| 綿製品 | 20.10% |
| 化合繊製 | 32.80% |
| 布帛製スカート 毛製品 | 14.90% |
| 綿製品 | 8.40% |
| 化合繊製 | 16.30% |
| 紳士布帛製パンツ類 毛製品 | 17.70% |
| 綿製品 | 16.90% |
| 化合繊製 | 28.40% |
大阪本部 06-6201-1817 東京支部 03-3516-6695
■表示規則(Care Instruction)
洗濯表示のラベルは、ケア・ラベル(Care Label)と呼びます。表示規則も、日本とは大分違うので充分な注意が必要です。ラベルには、生産国・素材・洗濯表示・生産者名が、英語で正しく記載されていなければなりません。さらに、そのラベルの取り付け位置もアイテム別に定まっています。これに違反すると、消費者保護の立場から、商品の通関ができなくなるので注意が必要です。
■サイズ (Size)
アメリカのサイズと日本のサイズは、明らかに異なります。「日本のMサイズは、アメリカのLサイズですか?」と良く聞かれますが、基本的な骨格の構造が違うため、そのように単純に比較することは出来ません。下記にアメリカ人のサイズスペックを掲載していますが、この表はあくまでも基本サイズです。
日本の売り場ではS,M,Lの3サイズが中心ですが、アメリカでは「人種のるつぼ」と言われるように、色々な体格の人がいます。サイズ・レンジは0,2,4,6,8,10,12,14,16,18と、並んでいることもあります。ファッション性の高い商品になると、そこまでサイズを揃えてはいませんが、それでも4サイズから6サイズは揃えています。
■卸価格(Whole sale price)
日本製の洋服、アクセサリーは、送料、関税も加わり、アメリカ製よりも確かに高くなります。品質は明らかに日本製の方が高いので、日本製品の価格はアメリカの消費者にとって「理解される範囲内」には入ると言えます。しかし、アメリカの消費者は価格に対して敏感ですので、価格は、慎重に戦略的に決定すべきでしょう。
アメリカの取引では、日本のように「定価」「上代」というものがありません。従って、日本のように「上代」に対する掛け率」というものもありません。あるのは、卸価格のみです。売値は、お店側が独自に決めます。およそ2倍から2.5倍位にしているようです。
卸価格の算出方法は、「日本の価格+関税+日本からアメリカまでの送料+諸費用」ということになります。関税は素材によって全く違います。一般的に言って、合繊ほど高く天然繊維ほど低い傾向があります。
■支払条件(Terms)
通常は、ネット30(Net30)と言って、「売り場に商品が到着した日より30日以内に小切手にて支払う。」という支払い方法が一般的です。または、商品納品と支払いを同時に行うCOD(Cash On Delivery)取引も行われています。支払条件は、交渉の末に決めると言うよりも、信用調査をしっかりしてから、「当社はこの条件ならば取引をする」という姿勢の方が良いでしょう。
■クレジット・チェック(Credit Check)
アメリカのお店の中には、支払いが悪いお店もありますので、信用調査無しに根拠もなく信用して納品してはなりません。
一般的な信用調査には、次の方法があります。
- 信用調査会社からレポートを購入する。
- お店から取引先一覧表(Reference)をもらい、取引先に信用照会する。
- ファクター(Factor)に依頼する。
ファクターというのは、多くが銀行の子会社で、売掛金を保証してくれるサービスを提供している会社です。ファクターのコミッションは、条件にもよりますが、2〜3%が一般的なようです。
アメリカでのビジネスをお考えの企業様へは、ニューヨークとロサンゼルスにオフィスをもつエージェントをご紹介させていただきます。